営業再開から忙しくさせてもらい、旅行記が遅くなりましたが、今日は鹿児島市編です。
この日のランチは、”鹿児島ラーメン”なるものを食べてみたかったので、大きな定義としましては’スープは豚骨ベースですが鶏ガラや野菜を使用しており、比較的あっさりしているのが特徴’だそうで、
選んだお店は天文館の”ラーメン小金太”さんへ。20分ほど並びましたが、食事をするのに並んだのは何十年ぶりかなあと思い出せないくらいです。
選んだ”チャーシューラーメン”、これが鹿児島ラーメンかというスープの優しい味わい、なんとも歯ごたえが心地の良いストレート麺、食べ終わってもすぐに食べたくなる美味しさでした!
心も満たされて向かった先は、向田邦子さんの聖地とでもいうのでしょうか、”かごしま近代文学館へ”
麻衣子さんが昔から好きな作家さんで鹿児島に行ったときには是非訪ねたいと言っていたので、

聖地巡礼へ。向田さんはお父さんの仕事の都合で小学生の頃に2年ほど鹿児島で暮らしたそうです。文学館では今回は、向田さんの留守番電話の音声や、自宅の南青山のリビングを再現したスペースや衣装など向田さんの息吹を感じられる展示となっていました。
すっかりにわかファンになったので、向田さん一家が愛した”両棒餅”を食べに磯浜へレンタカーを走らせました。向かったのは「平田屋」さん。向田一家が昔訪れていたお店は「桐原家」さんですが、「平田屋」さんは、後年向田さんが鹿児島を訪れた時に、同級生たちと来たお店だということ。
’ 変わらないものは、磯浜のジャンボ。
大きいという意味ではない。名物の餅の名前である。リャン棒のなまったもので、つきたてのやわらかい餅に、うす甘い醤油あんをからませたもの。昔、これを母が好んだこともあり、よく出かけたものである。’
(鹿児島感傷旅行より)
そう表現されるようにお餅の甘さは控えめで、焦げたお餅が昔石油ストーブの上で焼いた香ばしさを思い出される個人的にも懐かしい味わいでした。

お店の店内から見る桜島。まさに向田さんが見た景色と一緒でしょうか。
’ あれも無くなっている、これも無かった ―――無いものねだりのわが鹿児島感傷旅行の中で、結局変らないものは、人。そして生きて火を吐く桜島であった。
帰りたい気持と、期待を裏切られるのがこわくてためらう気持ちを、何十年もあたためつづけ、高い崖から飛び下りるような気持でたずねた鹿児島は、やはりなつかしいところであった。
心に残る思い出の地は、訪ねるもよし、遠くにありて思うもよしである。ただ、不思議なことに、帰ってくるとすぐ、この目で見て来たばかりの現在の景色はまたたく間に色あせて、いつの間にか昔の、記憶の中の羊羹色写真が再びとってかわることである。思い出とは何と強情っぱりなものであろうか。’
(同じく鹿児島感傷旅行より)

鹿児島を”故郷もどき”と呼んでいた向田さんのゆかりの地を訪ねることが出来た有意義な時間でした。
夜は予約をしていた、鹿児島食材にこだわった”Restaurant Nori”さんへ
食材に留まらず、お店の食器や備品に至るまで細部に鹿児島にこだわったレストラン。
黒豚の大福 枕崎かつお煎餅 串木野まぐろのきんつば あくまきのベニエ かるかん山川漬け
で始まるアミューズブッシュから鹿児島への情熱を感じざるを得ませんでした。鹿児島食材への想い、大隅半島と津摩半島の食材の違いなど、この日はオーナーシェフの脅威のワンオペでのおもてなし。様々な鹿児島食材に触れることが出来るレストランでした。
天文館近くに宿泊した”中原別荘”
素泊まりだったので温泉付きを選んだのですが、これがまたすごかったです。こんな市内の温泉なのに、加水・加温なしの源泉かけ流し。しかも説明によると今湧き出ているのは聖徳太子が活躍した1000年以上前に降った雨が長い時間をかけて湧き出た温泉だそうで、52℃の湧き出し温度の温泉水に歴史のロマンを感じることも出来ました。

テレビからは、

13年前初めてNHKでお料理を紹介した時にご一緒させて頂いた白鳥さんが夕方のニュースを担当されていてそれもまた感慨深いものがありました。画面で再会出来、一気に鹿児島に親近感も湧いてきました。
温泉のすばらしさに加え湧き出るお水のきれいさも行ってみて初めて分かりました。次回は霧島編でその風景をお伝えしたいと思います。
つづく